【変革会議】時代に合った組織変革とは
世界有数の化粧品メーカーとして歩んできた資生堂は、伝統が強みである一方、硬直化した組織風土や年功序列の弊害といった課題を抱えていました。
ここでは、その問題点をいかに乗り越え、新たな企業文化を構築することでどのような成果を得たのかを分かりやすく解説します。
改革前の課題と具体的な取り組みを紐解くことで、組織の可能性を広げるヒントがきっと見つかるはずです。
資生堂は、1872年の創業から培われた伝統と実績によって、長らく日本を代表する化粧品メーカーとしての地位を築いてきました。
しかし、その歴史に裏打ちされた企業風土は、次第に硬直化へと傾いていきます。上意下達に偏りがちなコミュニケーションや、上下関係の圧力によって新しいアイデアが出づらい空気が生まれていました。
こうした組織風土が続くと、グローバル化やデジタルトランスフォーメーション(DX)など急速に変化する市場で柔軟に動くのが難しくなります。加えて、部門をまたいだ協力体制の構築が進まず、業務効率やイノベーションの創出に支障をきたす場面も散見。
これらの問題は企業体質に深く根ざしていたため、従来のやり方を見直す抜本的な改革が必要となりました。
長く続いた日本的なメンバーシップ型制度により、年次や年齢が重視される評価基準が社内に浸透していました。
若手がいくら成果を上げても、昇進や重要ポストへの抜擢が遅れがちになり、結果としてモチベーションが下がるリスクが高まります。さらに、専門性を高めたいと考えている社員にとっても、評価が必ずしもスキルや知識に対して行われるわけではないため、自身のキャリアパスを描きにくい状況が生まれていました。
一方で、外部から優秀な人材を採用しようとしても、ジョブ型ではなくメンバーシップ型の制度が足枷となり、人材確保の競争力を低下させる側面も否めません。
人材戦略の遅れは、企業全体の競争力を損ねるだけでなく、組織内に閉塞感を漂わせる要因にもなっていたのです。
資生堂は世界各国でビジネスを展開していますが、従来の評価制度や働き方が日本市場に最適化されている影響で、海外の多様な文化や商習慣に迅速に対応するのが困難でした。
特に現地法人とのコミュニケーションや意思決定のプロセスにおいて、国内本社のルールが優先される傾向が強かったのです。結果的に、海外拠点からの提案や新市場へのチャレンジがスピーディに実行されにくく、チャンスを逃すケースもありました。
グローバル競争が激化するなか、意思決定の遅れや現場の士気低下は、大きなビジネスチャンスを逃す要因となります。こうした状況を打開するためには、日本本社が主導するだけでなく、世界中の社員が共通のビジョンをもって連携できる体制づくりが不可欠でした。
これまでの硬直化した組織風土から脱却すべく、資生堂は「PEOPLE FIRST」という理念を掲げ、社員一人ひとりの自律性と信頼を重視する文化づくりに注力しました。
従来の年功序列を前提とした評価制度を見直し、スキルや成果を基盤としたジョブ型人事への移行を進めることで、若手や中堅社員が積極的にチャレンジできる土壌を整備しました。
さらに、上司と部下の間だけでなく、同僚や関連部門など多方向から評価とフィードバックを得られる360度評価制度を導入し、社員同士が率直に意見を伝え合える関係を築きました。
一連の取り組みによって、個々のスキルアップを促しながらも組織全体で成果を認め合う風土が形成され、上下関係の垣根を乗り越えた新たなコミュニケーション様式が根付いています。社員のエンゲージメントを高めると同時に、柔軟でスピード感のある組織運営を実現しつつある点は、資生堂の大きな変革の一端と言えそうです。
ジョブ型人事制度を本格化させるにあたり、資生堂では各ポジションの仕事内容や責任範囲を具体的に示すジョブディスクリプション(JD)の作成を徹底しました。
約20種類におよぶジョブファミリーを整理し、それぞれに求められる専門スキルや行動特性を明確化したのです。これにより、社員は自らのキャリア目標と業務内容を結びつけやすくなり、会社としても個々の得意分野を活かした人材配置を行いやすくなりました。
また、人事評価では成果だけでなく、組織文化や行動指針(例:TRUST 8)に沿った振る舞いも加味する仕組みを導入。定期的なタレントレビューを実施し、次世代リーダー候補の早期発掘や育成プランの策定を行っている点も特筆すべきでしょう。
評価や異動が一部の慣習や主観に左右される状況を脱却することで、社員が安心して成長に取り組める環境が生まれています。
企業風土の改革は国内だけにとどまらず、グローバルに展開している各拠点にも波及させる必要があります。そこで資生堂は、タウンホールミーティングを定期開催し、経営層と世界中の現場をつなぐ機会を増やしました。
経営陣からは企業ビジョンや改革の方向性が直接共有され、社員からは日々の課題や提案をリアルタイムでフィードバックできる仕組みを整えたのです。
さらに、オンライン会議の導入を積極化し、時間や場所を超えた迅速な意思決定を目指しました。こうした取り組みは、多様なバックグラウンドをもつ人材同士の情報交換を促進し、企業全体のイノベーションを後押しする要因となっています。
国や地域によって異なる労働文化や顧客ニーズを共有し合うことで、新商品開発やサービス改善に生かせる点も大きな利点です。いわば、このグローバルコミュニケーションの推進によって、世界中の社員が「ONE SHISEIDO」という共通意識を持てるようになりつつあります。
社員一人ひとりの可能性を最大限に引き出すため、資生堂は研修プログラムや育成制度も刷新しました。たとえば、ジョブファミリーごとに専門スキルを磨くカリキュラムを提供し、研究・開発部門には最新テクノロジーの活用スキルを、販売部門には顧客体験の向上を重視した研修を行うなど、業務内容に直結した学習機会を増やしています。
将来的に組織を牽引する次世代リーダーの育成にも力を入れ、選抜型のリーダーシップ研修や海外事業とのクロストレーニングを導入も行っています。経営視点やグローバルマインドを養う機会を与えることで、早い段階から意欲ある人材を大きく飛躍させるのが狙いです。
こうした育成施策は、女性管理職や海外出身社員の登用にも好影響を及ぼし、組織の多様性とイノベーション力を強化する大きな原動力になっています。
一連の組織改革を経て、資生堂は企業風土と人材戦略の両面で顕著な変化を遂げています。まず、ジョブ型人事制度による明確な評価基準が浸透したことで、エンゲージメント調査のスコアが導入前より約15ポイント上昇しました。
個々の成果や専門性を正当に評価される風土が根付いた結果、若手や中堅社員の離職率が大幅に低減し、約7%だった年平均離職率が5%前後に改善しています。
さらに、女性の管理職登用数も増加傾向にあり、以前の4%から10%近くまで上昇したという報告があります。グローバル展開の面では、海外拠点との連携がスムーズになり、新商品の共同開発に要する期間が従来よりも約30%短縮。現場の声を反映しやすい組織体質に変わったことで、新たな市場ニーズへの対応力も高まりました。
こうした成果は、売上高やブランド認知度の向上といった数値面にも現れ始めており、改革を通じて「資生堂らしさ」を保ちながらも、時代や多様な顧客ニーズに即応できる企業体制を確立しつつあるのです。
引用元:レアリゼ公式HP https://www.realiser.co.jp/
レアリゼは組織課題解決のための社員研修、人材育成の専門企業です。代表の真田氏は日本サーバントリーダーシップ協会を設立し、現理事長としてサーバントリーダーシップの普及を通じてさまざまな分野のリーダー育成に注力しています。
レアリゼはよくある研修会社ではありません。長年にわたり心理学や脳機能、進化生物学などを研究し、「人の行動メカニズム」を体系化。人は理屈では動かないと知っているからこそ、本当に効果のある研修や人材育成のサービスを提供できるのです。
富士フイルムやベネッセ、ソニー、NTTといった日本を代表するさまざまな大手企業の人材育成に関与していることが、レアリゼの人材育成・研修の質の高さの証明と言っても過言ではないでしょう。
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