「経営層から『自律型人材を育成し、組織の変革を加速させよ』と期待されているが、何から手をつけるべきか…」
「研修は実施しているものの、現場での行動変容が見られず、効果測定も曖昧になっている…」
人事・人材開発をご担当される皆様の中には、このような課題やお悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか?
現代のビジネス環境は、VUCAと呼ばれるように変化が激しく、先行きも不透明です。このような時代において、指示待ちではなく、自ら考え、主体的に行動できる「自律型人材」の育成は、企業の持続的成長に不可欠な経営課題となっています。
しかし、その重要性は理解しつつも、育成は容易ではなく、多くの企業が試行錯誤を繰り返しているのが実情です。
本記事では、「自律型人材」に関する基本的な知識を押さえつつ、育成施策を“次のステージ”に進めるための実践的なヒント、そして多くの企業が陥りがちな「落とし穴」とその対策について、深く掘り下げて解説します。
まず、「自律型人材」とは何か、基本的な定義を確認しましょう。一般的に、組織の目標達成に向けて、自らの役割と責任を理解し、主体的に判断・行動できる人材を指します。上司からの指示を待つのではなく、自ら課題を発見し、解決策を模索し、周囲を巻き込みながら成果を生み出すことが期待されます。(※「自立」(独り立ちできる状態)とは異なり、「自律」は自身の内面を律し、組織や自身の目標に基づいて行動を選択する点が特徴です)
では、なぜ今、これほどまでに自律型人材が求められるのでしょうか?
このように、自律型人材の育成は、単なる人材育成のテーマに留まらず、変化の激しい時代を乗り越え、企業が競争優位性を確立するための重要な経営戦略なのです。
多くの企業が自律型人材育成に取り組む一方で、「なかなか成果が出ない」という声も聞かれます。ここでは、育成を阻む「よくある失敗(落とし穴)」と、その対策について見ていきましょう。
症状: 「自律型人材を育てたい」という掛け声だけで、具体的にどのような行動・能力を、いつまでに、どのレベルで求めるのかが不明確。経営戦略との連動性も低い。
処方箋: 育成目標を具体的かつ測定可能な形で設定する(例:「半年後までに、担当業務において改善提案を〇件以上行える」)。経営目標や部門目標と育成目標をリンクさせ、育成の意義を明確に示す。
症状: 「自分で考えろ」と丸投げするだけの放任、あるいは逆に、細かく指示・管理しすぎて部下の主体性を奪う過干渉(マイクロマネジメント)。
処方箋: 適切な権限移譲と伴走支援のバランスが鍵。目標や期待値、最低限守るべきルールは明確に伝えつつ、プロセスにおける裁量を与える。定期的な1on1などで進捗確認や相談に応じ、必要なサポートを提供する(教えるのではなく、考えさせる支援)。
症状: 失敗が許されず、減点主義的な評価が根強い。新しい挑戦よりも前例踏襲が重視される。率直な意見交換がしにくい雰囲気。
処方箋: 心理的安全性の確保が最重要。失敗を学びの機会と捉え、挑戦を奨励・評価する文化を醸成する。経営層・管理職が率先して多様な意見に耳を傾け、オープンなコミュニケーションを促進する。
症状: 研修を実施しても、その場限りで終わってしまう。学んだ内容を職場で実践する機会や、実践を支援する仕組みがない。効果測定も行われない。
処方箋: 研修(Off-JT)と現場での実践(OJT)を連動させたプログラム設計を行う。研修後のフォローアップ(実践報告会、上司との振り返り面談など)を組み込み、行動変容を促し、定着させる。研修効果を測定し、次の改善につなげる仕組みを作る。
症状: 管理職自身が、部下の自律性を引き出すための関わり方(コーチング、フィードバック、エンパワーメントなど)を理解・実践できていない。
処方箋: 管理職向けの育成スキル研修を継続的に実施する。特に、部下の話を傾聴し、適切な問いを投げかけ、内省を促すコーチングスキルや、具体的な行動に焦点を当てた効果的なフィードバックのスキルは必須。
これらの「罠」に心当たりはないでしょうか? 自律型人材育成を成功させるには、これらの課題に正面から向き合い、対策を講じることが不可欠です。
上記の「罠」を回避し、育成効果を高めるためには、従来の手法をアップデートしていく必要があります。ここでは、より実践的なアプローチをご紹介します。
経営理念やビジョンを一方的に伝えるだけでなく、対話型のワークショップや少人数ディスカッションを通じて、社員一人ひとりの業務やキャリアプランと、組織の目指す方向性を結びつける機会を設けます。これにより、「なぜこの仕事をするのか」という目的意識(パーパス)が醸成され、主体的な行動につながります。
画一的な研修ではなく、階層別はもちろん、強化したいスキルや解決したい課題に合わせたテーマ別研修を設計します。
知識習得(インプット)だけでなく、実践演習やケーススタディ、他者へのフィードバックなどを通じて、「わかる」から「できる」への転換を促します。
研修(Off-JT)と現場(OJT)の往還設計が重要です。研修で学んだことを現場で試し、その結果を研修やフォローアップセッションで振り返り、さらに改善するというサイクルを回す仕組みを取り入れます。(例:アクションラーニング)
研修効果は、満足度だけでなく、行動変容や成果への貢献度といった観点からも測定し、プログラム改善に活かします(カークパトリックの4段階評価モデルなどが参考になります)。
管理職には、指示命令型のマネジメントから脱却し、部下の可能性を引き出すコーチ、伴走者としての役割が求められます。
傾聴、質問、承認、フィードバックといった具体的なコミュニケーションスキルの習得に加え、部下の強みや意欲を引き出し、自律的な成長を支援するマインドセット(例:サーバントリーダーシップ)の醸成が重要です。管理職自身の学びと成長も支援する体制が必要です。
現状維持ではなく、少し背伸びしたストレッチ目標や挑戦的な役割・プロジェクトを任せることが、自律性を育む上で効果的です。
ただし、「任せきり」にせず、必要な情報提供やサポートは行います。成果だけでなくプロセスや挑戦する姿勢も評価し、失敗した場合でも、そこから何を学んだか、次にどう活かすかを共に考える姿勢が、挑戦を恐れない文化を育みます。
部門横断プロジェクト、社内勉強会、メンター制度などを通じて、多様な価値観や知識に触れる機会を増やします。
社外のセミナー参加や異業種交流なども奨励し、社員の視野を広げ、新たな気づきや学びを得ることを後押しします。多様な視点を持つことが、固定観念にとらわれない柔軟な発想や主体的な行動につながります。
自律型人材の育成は、特定の役職や階層のみを対象とするのではなく、組織全体の課題として取り組むことが重要です。
若手から経営層まで、全ての社員が自律性を高め、主体的に行動できるような環境と文化を醸成していく必要があります。
会社全体で自律型人材の育成に取り組むことで、個々の成長が組織全体の活性化につながり、変化に強く持続的な成長を実現できる組織となるのです。
自律型人材の育成で、
多数の大手企業を組織変革に導く
レアリゼは社員研修・人材育成に秀でた企業で、組織や受講生の課題に合わせたオーダーメイド研修を提供しています。サーバントリーダーシップを推奨しており、これまで富士フイルムやベネッセ、ソニー、NTTなど大手企業の組織変革に導いた実績があります。
代表の真田氏は、これまで組織変革や人材育成に関する書籍を多数出版し、セミナーにも引っ張りだこ。サーバントリーダーシップ協会を自ら設立し、理事長を務めています。
引用元:レアリゼ公式HP https://www.realiser.co.jp/
レアリゼは組織課題解決のための社員研修、人材育成の専門企業です。代表の真田氏は日本サーバントリーダーシップ協会を設立し、現理事長としてサーバントリーダーシップの普及を通じてさまざまな分野のリーダー育成に注力しています。
レアリゼはよくある研修会社ではありません。長年にわたり心理学や脳機能、進化生物学などを研究し、「人の行動メカニズム」を体系化。人は理屈では動かないと知っているからこそ、本当に効果のある研修や人材育成のサービスを提供できるのです。
富士フイルムやベネッセ、ソニー、NTTといった日本を代表するさまざまな大手企業の人材育成に関与していることが、レアリゼの人材育成・研修の質の高さの証明と言っても過言ではないでしょう。
真田 茂人氏
必要になるのは
目的意識と巻き込み力
上司に言われたことをただやるだけでなく、自分で考えて行動する自律型人材になる必要があります。そのためには、仕事の目的を意識して取り組むことが必要です。
同じく、周囲の人の力を借りながら仕事を進める巻き込み力も必要です。どうすれば、人に協力してもらえるか、そのために自分は他人にどう働きかけるのか。つまり、若手としてのリーダーシップを身につけられる研修を実施しています。