経営層から「組織の中核である中堅社員の強化が急務だ」「HRとして具体的な手を打ってほしい」といった要請を受け、その育成戦略や効果的な研修のあり方に頭を悩ませている人事担当者の方も多いのではないでしょうか。
変化の激しい現代において、中堅社員は単なる現場リーダーやプレイヤーとしてだけでなく、組織変革の推進者、イノベーションの起点、多様な人材を繋ぐハブとしての役割がますます期待されています。彼らの成長なくして、組織の持続的な成長は実現できません。
しかし、「どのような目的で研修を設計すれば、彼らが本当に覚醒し、組織貢献に繋がるのか?」その答えを見つけるのは容易ではありません。本記事では、単なるスキル付与に留まらない、経営成果に直結する中堅社員研修の「目的設定」に焦点を当て、その高度化戦略と実践的なヒントを解説します。
貴社では、中堅社員に関して以下のような課題が顕在化していませんか?
これらの課題は、単に個人の問題に留まりません。放置すれば、組織全体の生産性低下、イノベーションの停滞、次世代リーダー候補の枯渇、エンゲージメント低下による優秀人材の離職といった、経営層が看過できない深刻な経営課題へと直結していくのです。
中堅社員研修を実施しているにも関わらず、期待した効果が得られていない場合、その「目的設定」に問題があるのかもしれません。
効果的な目的設定のためには、従来の「スキル向上」「役割明確化」「モチベーション向上」といった分類を、より戦略的な視点で再定義する必要があります。
変化する環境下で期待される役割(リーダー、育成者、変革推進者など)を明確にし、その遂行に必要な知識・スキル・スタンスを獲得する。
当事者意識の醸成、視座の向上、キャリア自律の促進、フォロワーシップやリーダーシップの発揮など、マインドセットと具体的な行動の変化を促す。
研修での学びを活かし、自部署や組織全体の課題(生産性向上、部門連携強化、エンゲージメント向上など)解決に繋がるアクションを具体的に計画・実行する。
場当たり的な目的設定から脱却し、戦略的に目的を設定するためのステップをご紹介します。
経営戦略、事業目標、組織サーベイ結果、人事データ等を分析し、中堅社員育成における最重要課題(ギャップ)を明確にする。
課題解決のために、中堅社員に期待する具体的な役割、行動、成果を定義する。
研修を通じて「何を」「どのレベルまで」変化させるのか、具体的(S)・測定可能(M)・達成可能(A)・関連性(R)・期限(T) を意識した測定可能なゴール(KPI)を設定する。(例:〇〇スキルの習得度評価、研修後3ヶ月以内の△△に関する行動実践率、関連部署からの□□に関する360度評価スコア向上など)
設定したゴール達成に最適な研修内容、手法(座学、演習、アクションラーニング等)、期間、実施形態を設計する。
重要なのは、スキル習得だけでなく「研修後にどのような行動をとってほしいか」まで具体的に描き、それを測定・評価する仕組みを組み込むことです。
現代のビジネス環境において、中堅社員に特に求められる役割とスキルを再定義します。
メンバー一人ひとりの強みを引き出し、主体性を尊重し、奉仕・支援を通じてチーム全体の成果を最大化する力。トップダウンではなく、支援型のリーダーシップが求められます。
現状維持に甘んじず、課題を発見し、周囲を巻き込みながら業務改善や新たな取り組みを主体的にリードする力。
経営方針を現場に分かりやすく伝え、現場の声を経営に的確にフィードバックする双方向のコミュニケーション能力。部門間の利害調整や建設的な対立解消(コンフリクトマネジメント)も重要です。チーム内に心理的安全性を醸成する対話力も含まれます。
問題を表面的に捉えず、データや事実に基づいて根本原因や構造を深く理解し、持続可能な解決策を考案・実行する力。
後輩の成長を長期的な視点で支援し(キャリア支援含む)、メンバーの意欲と働きがい(エンゲージメント)を高める関与力。
研修効果を一過性のものにせず、持続的な成果に繋げるためのポイントです。
事前の課題ヒアリング、参加者アセスメントに基づき、自社の固有の文脈に合わせたオーダーメイドのプログラムを設計する。
研修直後だけでなく、一定期間後の行動変容度やKPI達成度を測定し、その結果を分析して研修プログラムやフォローアップ施策を継続的に改善する(PDCA)。
研修を「点」で終わらせず、メンター制度、1on1ミーティング、目標管理制度、社内SNSでの実践共有など、他の育成施策と連動させ、継続的な成長を支援する仕組み(エコシステム)を構築する。
中堅社員研修の効果を最大化し、組織全体の力とするためには、研修単体だけでなく、組織的なアプローチが不可欠です。
研修で求める能力や行動を、評価基準、昇進・昇格要件、異動・配置、報酬制度などと整合性を持たせる。
経営層から育成の重要性を発信し、管理職自身が育成マインドを持つこと、部下の研修参加や実践を支援することを促す。
新しい知識やスキルを学び、それを職場で試すこと(挑戦)を推奨し、たとえ失敗してもそこから学ぶことを許容する文化を醸成する。
リーダーシップやフォロワーシップを芽生えさせるのは、一筋縄ではいきません。
中堅社員に課題を抱えているということは、中堅社員自身がキャリアへの不安を抱いていたり、成長実感を感じられなかったり、出世意欲がなかったり、業務過多に陥っているなど、原因がさまざま重なっている可能性が高いからです。
育成には相応のノウハウが求められるため、社内の研修プログラムでは全てをカバーすることは難しいでしょう。
自律型人材の育成で、
多数の大手企業を組織変革に導く
レアリゼは社員研修・人材育成に秀でた企業で、組織や受講生の課題に合わせたオーダーメイド研修を提供。サーバントリーダーシップを推奨しており、これまで富士フイルムやベネッセ、ソニー、NTTなど大手企業の組織変革に導いた実績があります。
代表の真田氏は、これまで組織変革や人材育成に関する書籍を多数出版し、セミナーにも引っ張りだこ。サーバントリーダーシップ協会を自ら設立し、理事長を務めています。
中堅社員向けの研修を充実させることは重要ですが、組織としての競争力を高めるには、全社員が成長できる仕組みづくりが欠かせません。
若手や管理職を含めたあらゆるレイヤーが連携しながら学び合うことで、変化の波にも柔軟に対応できる強い組織へと進化します。
単に特定の層のみを育成するのではなく、全社的にスキルや知識を共有し合う環境を整えることで、相乗効果が生まれ、企業全体の成果や競争力を持続的に高めることができるのです。
引用元:レアリゼ公式HP https://www.realiser.co.jp/
レアリゼは組織課題解決のための社員研修、人材育成の専門企業です。代表の真田氏は日本サーバントリーダーシップ協会を設立し、現理事長としてサーバントリーダーシップの普及を通じてさまざまな分野のリーダー育成に注力しています。
レアリゼはよくある研修会社ではありません。長年にわたり心理学や脳機能、進化生物学などを研究し、「人の行動メカニズム」を体系化。人は理屈では動かないと知っているからこそ、本当に効果のある研修や人材育成のサービスを提供できるのです。
富士フイルムやベネッセ、ソニー、NTTといった日本を代表するさまざまな大手企業の人材育成に関与していることが、レアリゼの人材育成・研修の質の高さの証明と言っても過言ではないでしょう。
真田 茂人氏
ふたつのリーダーシップが重要
中堅という管理職手前の立場として、組織内により良い影響を与えていく「権限なきリーダーシップ」を身につけることを重視しています。また、管理職をサポートする「フォロワーシップという形のリーダーシップ」も身につけることができます。
管理職を補完したり、管理職に問題提起するフォロワーシップの発揮は、管理職になる準備でもあります。自分より立場が下の人間にも、上司にも影響を与え、動かしていくことができるようになるでしょう。