「経営陣からは『管理職をもっと育ててほしい』『強い組織を作ってほしい』と期待される。一方で、現場の管理職からは『研修を受けても結局何も変わらない』『日々の業務で手一杯なのに…』といった声も聞こえてくる…。」
人事ご担当者の皆様の中には、こうした経営と現場の板挟みになりながら、管理職育成の打ち手に頭を悩ませている方も多いのではないでしょうか?
「管理職研修は意味がない」という、やや刺激的な言葉が検索される背景には、単に研修内容がつまらないといった表面的な理由だけでなく、もっと根深い組織課題や、研修そのものの戦略的な位置づけに対する疑問が隠れているのかもしれません。
本記事では、なぜ管理職研修が「意味がない」と言われてしまうのか、その本質的な原因を探るとともに、研修を単なる「コスト」から組織の未来を創る「戦略的投資」へと転換するための視点と具体的なアプローチをご紹介します。
多くの企業で管理職研修は実施されていますが、残念ながら「受けても意味がなかった」という声が上がるケースも少なくありません。その原因は、研修の内容や手法だけでなく、もっと構造的な問題に起因している場合があります。よくある失敗パターンとその背景にある本質的な原因を見ていきましょう。
現場の実務・課題と乖離している: 抽象的な理論や一般的なマネジメント論に終始し、受講者が日々直面している具体的な課題解決に結びつかない。結果、「研修で学んだことは現場では使えない」と感じられてしまいます。
受講者のニーズやレベルに合っていない: 新任管理職からベテラン管理職まで、一律のプログラムを提供してしまう。個々の役職や経験、抱える課題に合わせた内容でなければ、学習効果は薄くなります。
ビジネス環境の変化に対応できていない: 市場の変化、働き方の多様化、新しいテクノロジーの台頭など、現代の経営環境に必要なスキルや視点が盛り込まれていない研修は、時代遅れであり、実践価値が低くなります。
一方的な講義形式で主体性を引き出せない: 講師が話し続けるだけの研修では、受講者は受け身になりがちです。知識のインプットはできても、自ら考え、議論し、実践する機会がなければ、深い学びや気づきは得られません。
学習内容が多すぎて消化不良: 限られた時間にあれもこれもと知識を詰め込もうとすると、結局何も身につかない、という事態を招きます。焦点が絞られていない研修は、受講者の負担になるだけで効果は期待できません。
講師の質が低い: 講師に現場経験が乏しかったり、受講者の状況やレベルに合わせたコミュニケーションが取れなかったりする場合、研修は有益な時間となりません。
研修後のフォローアップがない: 研修は「点」で終わらせるのではなく、「線」で捉える必要があります。学んだことを現場で実践し、定着させるための定期的なフォローアップや振り返りの機会がなければ、研修効果は時間とともに薄れてしまいます。
効果測定がなく、改善につながらない: 研修を実施した結果、何がどう変わったのかを測定・評価する仕組みがない。「やりっぱなし」では、研修の投資対効果を検証できず、次回の改善にもつながりません。
受講者の「自分ごと化」ができていない: なぜこの研修を受ける必要があるのか、目的が腹落ちしていなければ、受講者の学習意欲は高まりません。受け身の姿勢では、どんなに良い研修でも効果は半減します。
上記の失敗パターンに加えて、以下の点が「意味のない研修」を生む、より本質的な原因となっている可能性があります。
そもそも、研修の目的が会社の経営戦略や事業目標とリンクしていないケースです。「会社がどこに向かおうとしているのか」「そのために管理職に何を期待するのか」が不明確なままでは、研修の焦点が定まらず、経営層からの理解や評価も得られにくくなります。
研修で「部下の主体性を引き出すコミュニケーション」を学んでも、人事評価制度が短期的な成果ばかりを重視するものであれば、管理職は学んだことを実践しにくいでしょう。研修効果を最大化するには、組織文化や関連する人事制度との一貫性を保つ視点が不可欠です。
研修を「コスト」と捉え、「どれだけの投資で、どれだけの成果(リターン)があったのか」を明確に説明できない。特に経営層はROIを重視します。効果を可視化し、説明責任を果たせない研修は、「意味がない」と判断されがちです。
では、どうすれば管理職研修を「意味のある」ものへと転換できるのでしょうか? ここでは、人事担当者が主体的に取り組むべき、戦略的なアプローチを5つのステップでご紹介します。
まずは、自社の経営課題や事業戦略を深く理解することから始めます。その上で、「今回の研修を通じて、管理職にどのような役割を果たしてほしいのか」「具体的にどのようなスキルやマインドを習得・向上させ、どのような行動変容を期待するのか」を明確に定義します。この「研修ゴール」が、すべての設計の出発点となります。経営層とも事前にすり合わせを行い、共通認識を持つことが重要です。
研修ゴールが決まったら、対象となる管理職の現状を把握します。アンケートやインタビュー、必要であれば客観的なアセスメントツールなどを活用し、「現状(As Is)」と「あるべき姿(To Be)」のギャップを明らかにします。このギャップを埋めるために、役職、経験年数、部門特性などを考慮し、画一的ではない、テーラーメイド型の研修プログラムを検討します。
研修は知識をインプットするだけでは不十分です。「知っている」を「できる」に変え、さらに「やっている(習慣化)」状態にするための仕掛けが必要です。
研修内: 一方的な講義だけでなく、ケーススタディ、ロールプレイング、グループワーク、自社の課題に基づいたディスカッションなどを積極的に取り入れ、受講者の主体的な参加と相互作用を促します。
研修前後: 研修前に事前課題で意識を高め、研修後には職場での実践計画を立てさせます。定期的なフォローアップセッションや、上司を巻き込んだ実践支援なども有効です。
最新手法の活用: 必要に応じて、オンラインと対面のメリットを組み合わせた「ブレンディッドラーニング」や、隙間時間で学べる「マイクロラーニング」、ゲーミフィケーション要素を取り入れた学習なども検討しましょう。
研修の投資対効果を測り、継続的に改善していくためには、効果測定が不可欠です。カークパトリックの4段階評価モデル(レベル1:反応、レベル2:学習、レベル3:行動、レベル4:結果)などを参考に、研修の目的に応じた測定指標(KPI)を設定し、計画的にデータを収集・分析します。アンケートだけでなく、理解度テスト、行動観察、360度評価、業績データなど、多角的な視点から効果を検証しましょう。測定結果は必ず経営層に報告し、次回の研修企画に活かすPDCAサイクルを回します。
「意味のある研修」を実現するためには、人事担当者が研修ベンダーに「丸投げ」するのではなく、企画段階から効果測定、改善まで主体的に関与することが重要です。経営層との目的共有、現場部門とのニーズ調整、受講者への動機づけ、そして研修ベンダーとの効果的な協働。こうした関係各所との連携を密に行い、研修プロジェクト全体をリードしていく役割が求められます。
自律型人材の育成で、
多数の大手企業を組織変革に導く
レアリゼは社員研修・人材育成に秀でた企業で、組織や受講生の課題に合わせたオーダーメイド研修を提供しています。サーバントリーダーシップを推奨しており、これまで富士フイルムやベネッセ、ソニー、NTTなど大手企業の組織変革に導いた実績があります。
代表の真田氏は、これまで組織変革や人材育成に関する書籍を多数出版し、セミナーにも引っ張りだこ。サーバントリーダーシップ協会を自ら設立し、理事長を務めています。
企業組織が激動の時代に対応するには、管理職の育成は欠かせません。
しかし、管理職を刷新するだけでは変化の波に十分対応できず、すぐに限界を迎えるでしょう。
全員がそれぞれの立場で自分のスキルを磨き、協力し合うことで、組織としての柔軟性と競争力を高められます。
若手社員や中堅層も含め、あらゆるレイヤーがともに成長してこそ、真に強い企業へと進化できるのです。
引用元:レアリゼ公式HP https://www.realiser.co.jp/
レアリゼは組織課題解決のための社員研修、人材育成の専門企業です。代表の真田氏は日本サーバントリーダーシップ協会を設立し、現理事長としてサーバントリーダーシップの普及を通じてさまざまな分野のリーダー育成に注力しています。
レアリゼはよくある研修会社ではありません。長年にわたり心理学や脳機能、進化生物学などを研究し、「人の行動メカニズム」を体系化。人は理屈では動かないと知っているからこそ、本当に効果のある研修や人材育成のサービスを提供できるのです。
富士フイルムやベネッセ、ソニー、NTTといった日本を代表するさまざまな大手企業の人材育成に関与していることが、レアリゼの人材育成・研修の質の高さの証明と言っても過言ではないでしょう。
真田 茂人氏
今の時代に必要なのは、部下の力を引き出し自組織を活性化させること
自分の経験をベースに部下に指示、命令するのは、現実に適合しなくなってきました。価値観の多様化、リモートワーク、副業といった働き方の多様化などが背景にあり、管理型マネジメントは通用しない状況です。
今の時代に重要なのは部下の力を引き出し、自組織を活性化し成果を出すことです。サーバントリーダーシップを反映させたエンパワー型のマネジメントを身につけることが必要です。
管理職の負荷が増している状況で効果的にマネジメントするには、人はどう動くのか「人の行動のメカニズム」を理解したうえでのマネジメントが必要です。